サイバーエージェント、押せ押せモードのリリース解説です。
リリース要約
AI LABが科学研究費補助金取扱規程第2条に規定する研究機関である。AI LABに所属する研究者による科研費の応募が可能となった。2022年12月現在、科研費に指定されている研究機関の中で民間企業は全体の約9%程度。
とのことです。
一文で言えば、サイバーエージェントの研究開発組織であるAI LABが科研費申請の資格を満たしました、というリリースです。
解説
AI LABは過去に極予測AI、と呼称される、広告配信成果を事前予測するシミュレーションツールを開発しています。
同じようなシミュレーションツールは電通や博報堂にもあるのですが、最大の違いはその運用方法、AIを活用した革新的な制作プロセスで広告クリエイティブを制作し、広告効果がでた時のみクリエイティブ制作費を成功報酬でもらう、というものです。
この方法、よほどサイバーエージェントに自信があるんだろうな、と思われがちでして、実際それは一部分はあるのですが、本質ではありません。
本質的には、これまで無料で取り組んできたクリエイティブ制作やAIを活用した広告運用サービスに課金できるようにします、というものです。
広告運用のマージンはそうそう変えられるものではないですし、運用フィーももらうのが難しい広告主が多数いて、さらにこれまで無償対応してきたクリエイティブ制作が優勝に代わることに忌避感を示す担当者が多い中、合理的に・サービスアップデートを伴うものとして有償化に踏み切った、マネタイズがしっかりできている事例の1つです。
話を戻しますと、そのAI Labが科研費をもらえるようになった、という話です。
科研費=社会的に意義があると国の組織が認める研究のために、国がお金を出す仕組みは、国が指定した組織に所属している研究員しか申請することができません。
つまり、どんなに素晴らしい研究をしていたとしても、またどんなに優秀な研究者がいたとしても、組織として指定を受けていなければ科研費申請を行うことができないわけです。
サイバーエージェント、その資格を取りました。
今後はサイバーエージェントの中だけで、そこに所属する研究者だけで、国から助成金がもらえてしまうわけです。
この科研費、もちろん調査費や特許利用料など真面目でホワイトな用途にも使えるのですが、研究のための機材=PCやクラウド環境への投資や必要性を主張できる旅費、さらには外部人材を雇うための人件費など、幅広く使用できます。
会社の研究開発のための財布が一つ増えた、研究テーマが中長期的すぎる/ちょっと今目指している会社の方向性とずれる等で会社からお金が出なくとも自由に研究できる環境が整う、博士号保持者はもちろん大学の助手・助教など研究員などを雇うこともできるようになる、外部研究者との交流が広がる
という、今後の研究開発のスケールが見込める、極めて明るいニュースです。