221207解説:データアーティスト育成を目指す楽天@日経クロステック

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楽天グループには、楽天市場、楽天銀行、楽天証券、楽天pay、楽天トラベル、楽天の保険比較/生命保険、楽天モバイルなどなど・・・楽天IDを軸として、生活者のあらゆることが集まる環境が整っています。
しかもこの整い方は、ポイントに強みを持つ=ほぼ100%近く1IDでログインしてサービス利用をする環境が、他プラットフォーマーよりも強固です。

もちろん、例えばオンライン購入1つとっても併用が多いのは間違いないのですが、それでも、楽天で買うジャンル・楽天で買うタイミングさえ分かっていれば、その人がどんな人なのか・なぜこのタイミングで購入したのかなど、つまびらかにできるわけです。

今回はそんな楽天ユーザーデータ基盤環境を分析する人を育成しています、というPR記事を解説します。

記事要約

楽天グループが、技術者に心理学や歴史学などを学ぶことを奨励している。心理学や歴史学、経済学なども含めたリベラルアーツの素養が必要になると考えている。データから洞察を得ることに力を入れているという。

データだけじゃない、他の専門領域を持つ人材をデータアーティストと呼称し、楽天が力を入れている領域であることがアピールしてあります。

解説

PR記事であるにもかかわらず後半は会員限定というメディアの闇が垣間見れる記事です。

楽天に限らず、ありとあらゆるデータハンドリングについて、ただSQLをかけるだけの人はAIに淘汰される可能性が極めて高いです。
もちろんクエリを書くのに頭を使わなければならない点は多分にあるのですが、それは結局データ・データセットの定義とそのつなぎ方の問題に集約され、つまるところ条件さえ決めてしまえば自動で書けてしまうものだからです。

誰が読んでも一つの意味に、だれでもデータを触れるように、そういったデータハンドリング/プログラミング言語の特性が、今度は人間性を排除できるような仕組みとして使われる未来は見えています。

つまるところ重要なのはデータ処理の前段階、何を目的にどんなデータを収集するのか、何を明らかにするためにどんな類の分析するのか、です。
この段階のデザインで、特に新しい試みへチャレンジする場合、人間の知恵が今は必要になってきます。

その知恵ですが、工学部理系ばりばりの人間が出せるわけでは必ずしもありません。
また、その他理系や文系人間が知恵を出したところで、それがデータハンドリングの文脈に合うかどうかも検討しなければなりません。

楽天グループでは、データ分析できる人間に、視野を広げることを推奨しています。例えば人文科学、例えば心理学、例えば行動経済学・・結局分析する対象・動かしたいと思っている人たちは人間ですので、人間に対する造詣を深めることでデータ収集・分析・活用の視野を広げていきましょう・そのための投資を行っています技術者の皆さんぜひ来てください、とのアピールです。

リスキリングが話題になる昨今、データ分析に閉じず広げていくことを大々的にアピールしているのは有効なことだと考えられます。
欲を言えば、それらを活かしたデータ分析事例にどのようなものがあるのか、どのような進化を手に入れたのかまで踏み込んでいればベストでしたが・・

一方、例えば電通グループでは、全社員と言っていいほどのレベルでデータハンドリング環境を提供、SQLなどの知識をインプットさせています。楽天とは逆のアプローチで、さまざまなバックグラウンドにある人たちにデータ側に踏み出してもらう方法です。
この方法は、文化的な多様性がある広告代理店ならではの取り組みですし、メンター制度さえしっかりしていればクリエイティブがデータでジャンプする瞬間を目にできる可能性もあります。

・・データへの忌避というリスクを避けデータ人材を増やしたい楽天的アプローチと、業務経験も含めた専門性を発展させなんちゃってデータアナリストから知見を発展させたい電通的アプローチ、どちらも一長一短ですが、人にやる気さえあればどちらもうまく作用する仕組みです。

記事原文

「データアーティスト」育成を目指す楽天、クラウド内製で外販も視野
 楽天グループは今、技術者に心理学や歴史学などを学ぶことを奨励する。データからより深い知見、インサイト(洞察)を得られる人材を育てるためだ。6000人の技術者を率いる平井康文CIOにデータ活用やクラウド戦略を聞いた。