日経新聞の購読を行うため検索したところ、毎日新聞のリスティング広告が出てきました。
大変興味深い体験でしたので、事例としてご紹介します。
広告事例
検索キーワードは、”日経新聞 購読”です。
検索結果にリスティング広告が出てくるのは普通の話ですが、実際の画面を見てみると
1位掲載:毎日新聞
【公式】毎日新聞ご購読案内 – 6か月購読でギフト券進呈
2位掲載:毎日新聞
【公式】毎日新聞 電子版 – まずは1ヵ月お申込み
自然検索1位:日経新聞
リスティング上位は毎日新聞が独占、日経新聞のリスティングは出てきませんでした。
ちなみに今検索すると、1位:東京新聞、2位:日経CNBCでした。
この広告は果たして不適切なのか
日経新聞目線
日経新聞 購読
というキーワードに対し、日経新聞はリスティング広告を出稿していない可能性が高いです。
もし仮にリスティング広告を出稿していない場合、その判断は正しそうでしょうか?
結論として、判断自体は正しい可能性が高いです。
といいますのも、日経新聞×購読 KWで検索しているユーザーはもはや購読することを決めている可能性が極めて高い=他社に流出するリスクが低く、自然検索から入ってきてくれるユーザーであると考えられるからです。
おそらく日経新聞では、Google サーチコンソールを見たうえで、指名KW×購読系 のCTRが100%に近い数字であることを確認したうえでリスティング出稿をしないという判断を下しているはずです。
なお備忘録として、私には日経新聞のリスティング広告は表示されませんでしたが、例えばここ1か月何度もサイトに来ている決め切れていない人や他社と悩んでいる人、年末年始や年度マタギ前後など決意を新たにするタイミングでのみ広告表示されるなど、特定の条件のユーザーや特定のタイミングでのみ広告露出している可能性もあります。
他社と比較検討している、流出しやすいユーザーのみに狙い撃ちしているのであれば、それはコスト効率が極めて高いと評価できます。
毎日新聞目線
日経新聞 購読
というキーワードに対し、日経新聞以外の広告主が広告出稿することは果たして正しいのでしょうか?
結論から申し上げますと、広告主目線で正しい戦術なのかどうかは不明、生活者目線で正しいブランド体験を提供できているかどうかは極めて怪しいです。
広告主目線
毎日新聞が日経新聞の購読という極めて日経新聞確度の高いユーザーに広告を出すことは、
新聞を買いたいと思っているユーザーを振り向かせることさえできれば刈り取り可能性は高い
という意味で、狙いとしては間違っているわけではありません。
が、その対象が読売新聞や朝日新聞ではなく、ある種特殊な立ち位置にある日経新聞でいいのかどうか、日経新聞検討者の毎日新聞への翻意ができるのかどうか、という検討事項は残ります。
残りますが、結局は、そのKW群の獲得単価・LTVを含むROASがビジネス上あっているのかどうか、次第です。
おそらく毎日新聞の中では獲得効率は見合っており、それゆえに出稿している、そう考えられます。
なお、毎日新聞をはじめ他社KW×深いファネルKWで広告出稿を行うのであれば、例えば、
・自社サイト来訪者にのみ広告を出す/強化する
・クリエイティブ(TD/LP)をオファー寄りのものにする/日経はじめ他社比較メリットを出す
といった、違いを生み出すことでより一層効果的・効率的な広告戦術が実現可能です。
生活者体験目線
日経新聞 購読
で検索しているユーザーは、すぐに購読したいと思っているのか、購読する手続き方法を知りたいだけなのかなど、モチベーションに濃淡はあるものの、基本的に当然、日経新聞を購読したいと考えています。
日経新聞を購読したいと思っている人が、毎日新聞の広告を見るわけです。
“興味ない”・”関係ない”・”邪魔”
そんな思いを抱かせる不快なブランド体験を提供してしまい、ブランドイメージを下げている可能性が高いです。
そのブランドイメージ棄損を気にするかどうか、それはマーケターの判断次第です。
おそらく毎日新聞では、
・毎日新聞を検討候補に入れないユーザーの印象には興味がないと割り切っている
・買うか買わないかが最重要でありブランドイメージは気にしない
・何も考えていない
のいずれかを理由として、広告出稿を続けているのでしょう。
だから広告は嫌われる、とはいえビジネスを考えると仕方がない。
そんなもやもやを募らせる、”日経新聞 購読”KWのリスティング出稿状況でした。